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第20条 解雇の予告
■□
労働基準法 第2章 労働契約
□■
第13条 この法律違反の契約
第18条の2 解雇
第14条 契約期間等
第19条 解雇制限
第15条 労働条件の明示
第20条 解雇の予告
第16条 賠償予定の禁止
第21条 解雇予告の適用除外
第17条 前借金相殺の禁止
第22条 退職時等の証明
第18条 強制貯金
第23条 金品の返還
▼
解雇の予告
第20条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は
労働者の責に帰すべき事由
に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
労働者の責に帰すべき事由
(イ)
原則として極めて軽微なものを除き、事業所内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合
ただし、一般的にみて「極めて軽微なもの」であっても、次の場合には「労働者の責に帰すべき事由」として認定します。
使用者があらかじめ不祥事件の防止について諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、しかもなお、労働者が継続的に又は断続的に盗取、横領、傷害等刑法犯またはこれに類する行為を行った場合
事業場外で行われた盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、それが著しく当該事業場の名誉もしくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失させるものと認められる場合
(ロ)
賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合。また、これらの行為が事業場外で行われた場合であっても、それが著しくその事業場の名誉もしくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失せしめると認められる場合
(ハ)
雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び、雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合
(ニ)
他の事業へ転職した場合
(ホ)
原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
(ヘ)
出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合
認定にあたっては、必ずしも前記の個々の例示に拘泥することなく総合的、かつ実質的に判断されます。なお、就業規則等に規定されている懲戒解雇事由についてもこれに拘束されることはありません(昭和23年基発1637号、昭和31年基発111号)。
解雇予告の時期
30日以上前の解雇に際して、30日以上前に予告した場合は、例えば40日の如く期間が確定していれば、その予告は「少なくとも30日前」に該当します。
また、30日前に予告はしたが、その期限到来後、解雇期日を延期することを本人に伝達し、そのまま使用する場合には、通常同一条件にてさらに労働契約がなされたものとみなされる。したがって、改めて30日前の解雇予告もしくは30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要となります(昭和24年基発1926号)。
解雇の予告とその取消
解雇の予告を受けた労働者が解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできるが、自ら契約を解除した場合を除き、予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務があります。 また、労働者が解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結び、勤務を開始しようとして使用者に申し出た時は、他の使用者との新しい契約に基づいて現実に勤務を開始するまでの期間に限り、使用者は労働者の勤務を要求できます。
なお、使用者が行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことはできませんが、労働者が具体的事情の下に自由は判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができます。解雇予告の意思表示の取消に対して、労働者の同意がない場合は、自己退職の問題は生じません(昭和25年基収2824号、昭和33年基発90号)。
予告期間及び予告手当ての支払いが無い解雇
法定の予告期間を設けず、また法定の予告に代わる平均賃金を支払わないで行った即時解雇の通知は即時解雇として無効です。 なお、使用者に解雇する意思があり、かつ、その解雇が必ずしも即時解雇であることを要件としていない場合には、その即時解雇の通知は、法定の最低期間である30日経過後に解雇する旨の予告として効力を有します(昭和24年基収1483号)。
予告期間中に業務上疾病にかかった場合
30日前に解雇予告をし、その解雇予告期間満了前に労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業を要する場合には、たとえ1日、2日の軽度の負傷又は疾病であっても解雇制限の適用があります。 負傷し又は疾病にかかり休業したことによって、前の解雇予告の効力の発生自体は中止されるだけであるから、治癒した日に改めて解雇予告をする必要はありません。 ただし、休業期間が長期にわたり、解雇予告として効力を失うものと認められる場合を除きます(昭和26年基収2609号)。
予告の無い解雇
使用者が予告無しに労働者を解雇し、労働者はその解雇が有効であると重い、離職後相当日数経過後他の事業場の勤務した場合において、この解雇の意思表示が解雇の予告として有効と認められ、 かつその解雇の意思表示があったために予告期間中労働者が休業した場合は、使用者は解雇が有効に成立するまでの期間、休業手当を支払わなければなりません(昭和24年基収1701号)。
<判例>
労働基準法第20条の予告期間をおかず、又は予告手当の支払いをしないで、労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、 通知後所定の30日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生じます(最高裁判所昭和35年3月11日第2小法定)
予告手当の支払時期
解雇予告手当ては、解雇申渡と同時に支払わなければなりません(昭和23年基発464号)。
なお、解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力は生じないものと解されるから、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じません(昭和27年基収1906号)。
予告手当ての支払方法
30日前に解雇予告をしない使用者は、予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
この平均賃金の支払とは、現実に労働者が受け取り得る状態に置かれた場合をいいます。
次の場合には、平均賃金の支払がなされたと認められます。
郵送等の手段により労働者宛に発送を行い、この解雇予告手当てが労働者の生活の本拠地に到達したとき(直接労働者本人の受領すると否と、また労働者の存否には関係しない。)
労働者に解雇予告手当を支払う旨通知した場合については、その支払日を指定し、その日に本人不参のときはその指定日、また支払日を指定しないで本人不参のときは労働者の通常出頭し得る日
なお、解雇の申渡と同時に解雇予告手当を提供し当該労働者が解雇予告手当の受領を拒んだ場合には、これを法務局に供託できます。(昭和63年基発150号)
採用通知後の採用取消
(イ)
会社の採用通知が労働契約締結についての労働者の申込に対して労働契約を完成させる使用者の承諾の意思表示としてなされたものであれば、会社の採用通知によって労働契約は有効に成立し、会社の採用取消通知は有効に成立した労働契約解除の通知であると解されます。したがってこの場合には、本条が適用されます。
(ロ)
会社の採用通知が労働契約締結の予約であれば、未だ労働契約そのものは有効に成立しないため、事後における会社の採用取消通知は労働契約そのものの解除ではありません、したがって、解雇の予告規定の適用はありません。
(ハ)
雇用契約締結の日を明示して採用通知がなされた場合は、一般には労働契約はその日に有効に成立しているものと解されます。 したがって、その日以降における採用取消通知は本人の赴任前であっても解雇の意思表示があると解され、本条が適用されます(昭和27年基監発15号)。
<判例>
大学生が会社の求人募集に応じ、採用試験に合格した会社から採用内定の通知を受け、会社に誓約書も提出した。誓約書は、卒業後には必ず入社する旨及び卒業しなかったときは内定を取り消されることがあることを証人する旨誓約するものであった。 この場合の採用内定は、解約権を留保した労働契約が成立したものといえる(最高裁判所昭和54年7月20日第2小法廷)。
期間の定めのある契約の反復更新
形式的には雇用契約を定めた契約が反復更新されても、実質においては期間の定めのない労働関係と認められる場合は、解雇の予告を要します(昭和27年基収503号)。
<懲戒解雇の判例>
(i)
「社員が業務の正常な秩序維持のためその所持品の検査を求められたときは、これを拒んではならない。」との就業規則に基づき、組合と協議のうえ、従業員に対し、所持品検査を実施したが、従業員の1人がこれを拒否したため懲戒解雇した。この場合の解雇は違法ではない(最高裁判所昭和43年8月2日第2小法廷)。
(ii)
後輩の運転手に飲食をすすめたうえで自動車を運転させ、人身事故を誘発させたタクシー運転手に対し、就業規則の懲戒事由である「酒気を帯びて自動車を運転したとき」を準用して懲戒解雇した。この場合の解雇は有効である(最高裁判所昭和53年11月30日第1小法廷判決)。
(iii)
労働組合から除名された労働者に対しユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として使用者が行う解雇は、当該除名が無効な場合には、ほかに解雇の合理性を裏付ける特段の理由がない限り、解雇権の濫用として無効である(最高裁判所昭和59年3月29日第1小法廷)。
(iv)
出向先から出向元への復帰命令拒否を理由とする懲戒解雇は有効である(最高裁判所昭和60年4月5日第2小法廷)。
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